時間単位年次有給休暇の運用ガイド|計算方法・ルール・実務のポイントを解説

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はじめに

時間単位の年次有給休暇制度を導入する際は、適切な運用ルールを定めることが重要です。
本記事では、時間単位年休の計算方法や取り扱いについて、具体的な事例を交えながら解説します。

この記事で学べること

1日分の時間単位年次有給休暇の計算方法

まず、時間単位の年次有給休暇を計算する際は、1日分の年休に対応する時間数を所定労働時間数を基準として定めます。

1日の所定労働時間が固定の場合

1日の所定労働時間が一定であれば、その時間数をもとに時間単位の年休を計算します。

例:1日の所定労働時間が7時間30分で5日分の時間単位年次有給休暇を取得する場合

  • 7時間30分を切り上げて1日8時間とする。
  • 8時間 × 5日 = 40時間分の時間単位年次有給休暇。

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所定労働時間が日によって異なる場合

1年間の平均所定労働時間を基準として計算します。
(基準がない場合は、決められている期間における1日平均所定労働時間を用いる。)

切り上げの原則

  • 1日の所定労働時間が7時間30分の場合、切り上げて8時間として計算。
  • 例えば、5日分の時間単位年次有給休暇を与える場合、 7時間30分×5日=37時間30分ではなく、40時間(8時間×5日)とする。

端数の取り扱い

時間単位で取得する際、1日分の所定労働時間数を基準に端数を処理します。

所定労働時間に1時間未満の単位があるときの賃金
例)8:30から10:00まで有給休暇の取得をする。
取得に1時間未満の単位は無い為、2時間の有給休暇を取得した場合、就業すべき1時間30分に対しての賃金を支払うことは問題ありません。

ただし就業規則には記載しておく必要があります。

1時間以外の単位での取得

1時間以外の取得単位

1時間単位ではなく、2時間や3時間単位で取得することも可能です。
ただし、1日の所定労働時間を超える時間数を取得することはできません。

具体例

  • 1日の所定労働時間が8時間の従業員が、2時間単位で年休を取得可能とする場合、 1回の取得は2時間、4時間、6時間などの単位で認める。
  • 1日に9時間以上の取得は不可。

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実務上のポイント

労使協定の締結

時間単位の年次有給休暇を導入するには、締結日のほか必要事項を記載した労使協定の締結が必要です。

  • 時間単位年休の対象労働者の範囲
  • 時間単位年休の日数
  • 時間単位年休1日の時間数
  • 時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

適切な管理方法の確立

  • 年次有給休暇の管理システムを整備し、取得状況を正確に記録する。
  • 1時間単位の取得が可能であることを従業員に明確に周知する。

運用の柔軟性と公平性

  • 繁忙期など取得制限を設ける場合は、合理的なルールを設定する。
  • パート・アルバイト社員にも適用する場合、労働時間に応じた適切な単位で管理する。

注意点

  • 時間単位年休も年次有給休暇ですので、事業の正常な 運営を妨げる場合は使用者による時季変更権が認められます。
    ただし、日単位での請求を時間単位に変えることや、時 間単位での請求を日単位に変えることはできません。
  • 時間単位年休の日数
    現在は5日以内の範囲で定めます。前年度からの繰越しがある場合であっても、当 該繰り越し分も含めて5日分以内となります。
  • 計画年休との関係
    時間単位年休は、労働者が時間単位による取得を請求した場合において、労働者が 請求した時季に時間単位により年次有給休暇を与えることができるものですので、労 働基準法第39条第6項(改正前は第5 項)の規定による計画的付与として時間単位年休を与えることはできません。
  • 年5日取得義務との関係
    事業主の義務とされている「年10日以上の年休を付与された労働者に年間5日の有給休暇取得を取得させること」の取得日数5日には時間単位で取得した時間数・日数はカウントされません。

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まとめ

時間単位の年次有給休暇制度を適切に運用することで、従業員の働きやすさが向上し、定着率、企業の生産性向上にもつながります。
育児や介護にかかわる従業員だけでなく定期的な通院(歯科医など)なども、し易くなり従業員の健康維持にも寄与するでしょう。
個人ごとの仕事は責任をもって行いながら、一緒に働くチームの皆さんとはお互い様の気持ちをもって有給を取得することがライフワークバランスの充実につながります。

企業としては労使協定の締結や管理方法の整備をしっかり行い、制度を円滑に導入しましょう。

この記事で学べること