時間単位の有給休暇とは?最新の制度変更とその活用方法を徹底解説


はじめに

近年、柔軟な働き方が求められる中で、「時間単位の有給休暇」という制度が注目されています。
既に導入している企業は2021年で21.7%(独立行政法人労働政策研究・研修機構調べ)となっています。
たとえば、育児や介護、通院など日常的な用事に対応するための休暇制度として、従業員にとって非常に便利な手段です。
従来の「1日単位」や「半日単位」の休暇取得が多くの企業で主流でしたが、時間単位の欠員により運営に支障きたしやすい業務でなければ会社、労働者共に働きやすい職場を作るうえで役立つ制度と言えるでしょう。
2024年12月に、この制度の上限緩和案が発表されたことはご存じでしょうか?
本記事では、時間単位の有給休暇の概要から最新の制度変更案、そして注意点までを詳しく解説します。


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1. 時間単位の有給休暇とは?

1.1 制度の概要と対象

時間単位の有給休暇は、従業員が有給休暇を1時間単位で取得できる制度です。
従来の有給休暇は、1日または半日単位で取得することが一般的でしたが、時間単位で休暇を取得できることで、細かい生活のニーズに対応することが可能となります。
たとえば、病院に行くために1時間だけ休みを取る、子どもの学校行事に参加するために1時間だけ抜けるなど、従業員は自分のライフスタイルに合わせた休暇取得が可能になります。
本当は職場に戻って仕事を片付けたいが、時間単位年休がないので早退したケースも実際にあるようです。
この制度は、労働基準法に基づき、労使協定を締結し任意で導入することができます。
特に育児や介護、通院などのニーズに対応できるため、ワークライフバランスの向上に寄与します。


2. なぜ時間単位の有給休暇制度が注目されているのか?

2.1労働者と企業の双方の利点

時間単位の有給休暇は、従業員にとっての利便性を高めるだけでなく、企業にもさまざまな利点をもたらします。
まず、企業にとっては、従業員が丸一日欠員になってしまうリスクを緩和し他の従業員の仕事量増加を防ぐことが期待できます。
また、従業員が時間単位で有給休暇を取得することで、休暇の取得率が向上し、労働者の満足度が高まるため、企業の魅力向上にもつながります。
結果として、従業員の定着率の向上や、採用活動での競争力を高める要素となります。
時間単位の年休は労使協定で対象となる労働者の範囲を定めて運用することも可能です。どうしても事業の運営の妨げになる場合は一部を除外することも可能です。


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3. 最新の制度変更について

3.1 上限緩和の内容

2024年12月、政府の規制改革推進会議は、時間単位で取得できる年次有給休暇の上限を現在の「年5日以内」から「付与日数の50%程度」に緩和する方向で検討することを発表しました。
これにより、たとえば年間20日の有給休暇が付与されている場合、これまでは最大5日(40時間)までしか時間単位で取得できませんでしたが、変更後は最大10日(80時間)まで取得可能となります。

3.2 施行時期と影響

この制度変更は、2025年度中に施行される予定です。
企業は、従業員のニーズに合わせて柔軟な休暇取得を支援する体制を整備する必要があります。企業側がこの変更に適応するためには、就業規則の見直しや、労務管理の改善が求められます。


4. 制度利用の注意点

4.1 導入での注意点

時間単位の年休を導入するに当たっては、事務担当者の協力が必要です。
有給の日数管理に伴うカウント方法(一日の所定労働時間、午前と午後の所定労働時間がなど一時間未満の単位を含む場合)を正しく理解して管理しないとなりません。
また、時季変更権や5日の取得義務の取り扱いなど、従業員に周知させる必要があります。


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5. まとめ

年次有給休暇は、働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的として、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。
しかし、同僚への気兼ねや請求することへのためらい等の理由から、取得率が低調な現状にあり、年次有給休暇の取得促進が課題となっています。
有給取得が1日単位・時間単位どちらであっても、仕事は個人ではなくチームで行うことを全員が共有し、同僚が休暇で不在となっても業務が回るような取り組みを会社は推進し休みやすい職場環境にしていきましょう。、さらに柔軟で効率的な休暇取得が可能となり、労働者の生活の質向上や企業の生産性向上に寄与することが期待されます。
企業は早めに対応し、従業員にとって使いやすい制度を整備することが求められます。


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